阪神の伏兵が値千金の一打で今季5度目のサヨナラ劇を呼び込んだ。セ・パの首位対決となった3日のロッテ戦。5-5の延長十一回1死満塁で、打席には途中出場の小幡。広畑の151キロ外角直球を中前へはじき返し、「あの場面は自分が決めてやるとしか思っていなかった」。人生初というサヨナラタイムリー。岡田監督は「きょう負けてたら、ずるずるいく負けやったろうな。勝ちは大きい」と胸をなでおろした。
5-2で迎えた九回にマウンドに上がった湯浅が味方の失策も絡んで3点差を追いつかれた。だが、嫌なムードは必ず早めに払拭するのが、今季の阪神の強さだ。総力戦を制した指揮官は「悪い流れのときに、何とかしのいだのは大きいと思う」と振り返った。
もっとも、打線はまだ復調とはいえない。5月は19勝と破竹の勢いだったが、交流戦の開幕カードは1勝2敗と負け越した。西武3連戦でのチーム打率は1割8分1厘。この日も八回までの5得点は、長打ばかりの4安打で奪ったもの。それだけに控えの小幡の一打は貴重だった。
9連戦の初戦で4時間を超えた総力戦に「疲れるわ」と言いながらクラブハウスへ引き上げた指揮官。だが、今季3連敗はいまだ一度もない。(嶋田知加子)