武器不足問題で日米は共同生産推進を エスパー前米国防長官

2019年8月、安倍晋三首相との会談後、記者団の質問に答えるエスパー米国防長官=首相官邸(肩書は当時。春名中撮影)
2019年8月、安倍晋三首相との会談後、記者団の質問に答えるエスパー米国防長官=首相官邸(肩書は当時。春名中撮影)

【ワシントン=坂本一之】米国のトランプ前政権で国防長官を務めたマーク・エスパー氏は2日、オンラインで産経新聞のインタビューに応じ、対ウクライナ支援で弾薬・兵器の需要急増に産業側が対応できない問題が浮き彫りになったことを踏まえ、日米で防衛装備品の共同生産を進めるべきだとの考えを示した。日米韓によるミサイル情報の即時共有の取り組みを歓迎し、中国の台湾侵略に備えて米軍と台湾軍による共同軍事演習を求めた。

エスパー氏は日米韓の情報即時共有を巡り「日韓両政府の関係はここ数年で見たことないほど良い。協力を実行するときだ」と強調。アジア安全保障会議(シャングリラ対話)に合わせた日米豪や日米豪比などの会談開催に関し「中国の悪い行為に民主主義国が足並みをそろえ反対するという強いメッセージを送ることになる」と評価した。

インド太平洋地域の「中国の脅威」を考えニュージーランドや太平洋島嶼(とうしょ)国などとの新枠組みや、日米豪印の枠組み「クアッド」の拡充などを日米に求めた。

中国に加え北朝鮮の脅威にも対抗するため、グアムなどインド太平洋地域の米軍拠点には「防衛と反撃能力が必要だ」と指摘。「長距離の精密攻撃兵器や極超音速兵器の配備が非常に有用だ」と述べた。

台湾情勢では、中国による台湾侵略が「差し迫っているとは考えていない」とした上で、「台湾は中国を倒す準備をする必要がある」と語った。「艦船を沈める巡航ミサイルや機雷、強固な防空システム」に加え、ウクライナで活躍する高機動ロケット砲システム「ハイマース」や携行型の攻撃兵器などの配備が重要になるとした。

米軍による台湾軍への訓練支援とともに共同演習の実施も望ましいと述べ、台湾軍の能力強化を訴えた。

欧米のウクライナ支援で弾薬不足が起きたことに関し「大量の武器・弾薬の需要にタイムリーに対応できる産業基盤がない」とし、「中国との対立が続く中で重要な課題」と強調した。

日米で共同生産を進める考えについて「多くの(技術・製造)能力を持つ同盟国の産業と組むことは良いことだ」と述べた。

米中防衛相会談が開かれないことには、「すぐに電話で話せる関係を築くことは重要だ」としつつ、「会いたくて仕方がない」という姿勢は中国に間違った「メッセージを送ることになる」と述べ、米側の対応に警鐘を鳴らした。

マーク・エスパー

米ペンシルベニア州出身。1986年に陸軍士官学校を卒業し陸軍に勤務。湾岸戦争にも従軍。米保守系研究機関のヘリテージ財団を経て、2002年に国防次官補代理。07年に陸軍を退役。17年に陸軍長官。トランプ前政権の19~20年に国防長官を務めた。59歳。

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