WBC韓国代表の3選手、期間中の「飲酒」で謝罪に発展…今も続く厳しい視線

WBC1次リーグの日本戦に敗れた韓国ナイン=2023年3月、東京ドーム(水島啓輔撮影)
WBC1次リーグの日本戦に敗れた韓国ナイン=2023年3月、東京ドーム(水島啓輔撮影)

今年3月に開催された野球の「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)に出場した韓国代表の一部選手が大会期間中、東京都内の飲食店で飲酒していたことが判明したことを受け、謝罪する事態に発展している。韓国代表は今回のWBCで、宿敵の日本代表に敗れるなど1次リーグで敗退。韓国の一部メディアからは、飲酒した選手に対して何らかの処分が課される可能性を指摘する声も上がっている。敗退時には「3大会連続の屈辱」などと厳しい評価を浴びた代表選手に対して、韓国国内では今もなお厳しい〝視線〟が注がれている。

ベテラン左腕「とても後悔」

韓国代表は3月9日の1次リーグB組の初戦で豪州と対戦し、7-8で敗戦。10日には日本に4-13で敗れ、2勝2敗で1次リーグ敗退に終わった。騒動の発端は、韓国国内のユーチューブチャンネルで5月末、「韓国代表の一部選手が3月8~10日に東京・赤坂の飲食店で未明まで飲酒していた」などと取り上げられたのがきっかけだった。

韓国メディアでも追及の声が高まる中、韓国代表として参加していた韓国プロ野球・SSGの金広鉉(キム・ガンヒョン)投手(34)が6月1日に会見を開き、飲酒の事実を認めて謝罪。朝鮮日報(日本語電子版)は「チームのベテランとして実に浅はかだった。とても後悔している」とする金投手の談話を紹介した。中央日報(日本語電子版)も「WBC飲酒騒動、韓国投手・金広鉉『ベテランとして考え足りなかった』」との見出しで取り上げた。

朝鮮日報は「金広鉉は大阪での練習を終えて東京に移動した3月7日夜、現地の知人と共に、接待を伴う飲食店で食事をしながら酒を飲んだ。また、先発登板した日本戦(3月10日)の後、高校の後輩に当たる(韓国プロ野球球団の)斗山の投手と一緒に同じ飲食店を訪れて酒を飲んだ」と指摘。金投手だけでなく、韓国プロ野球でプレーする2投手も飲酒の事実を認め、謝罪したという。

 プレミア12の日本戦に先発した韓国の金広鉉投手=平成27年11月、札幌ドーム
 プレミア12の日本戦に先発した韓国の金広鉉投手=平成27年11月、札幌ドーム

金投手といえば、2009年のWBCや、15年、19年のプレミア12にも韓国代表として出場。「日本キラー」としても知られるベテランの左腕だ。ただ、今回のWBCでは日本戦に先発して三回途中4失点と不本意な結果に終わっていた。

3投手は飲酒の事実を認めているものの、韓国の一部メディアは「(一部の投手は)日本戦前日の9日にも飲酒していた」と報じるなど、飲酒した日時については食い違いも見せている。

今後は「処分」の可能性も

謝罪に追い込まれた金投手ら3人だが、事態は謝罪だけにとどまりそうにない。

スポーツソウル(日本語電子版)は「KBO(韓国野球委員会)は徹底的に調査を進めており、球団も協力するという立場にある」と指摘。「代表招集期間、選手が酒を飲むことに対する明確な処罰規定はない。しかし、国家代表運営規定13条には『社会的物議を醸したものに対して懲戒委員会を開催する』と明示されている」として、処分される可能性に言及した。

1次リーグ敗退に終わった韓国代表は現在、日本代表との定期戦を模索するなど、代表強化に向け立て直しを図っている。ただ、今回の飲酒騒動からは1次リーグ敗退の〝戦犯探し〟が現在も続いている印象がぬぐえず、立て直しには時間を要しそうだ。(浅野英介)

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