台風2号の接近と前線の活発化による大雨で、2日夜から3日午前にかけては関東甲信地方でも線状降水帯が発生し、乗用車が道路で冠水するリスクも高まる。日本自動車連盟(JAF)が過去に実施したテストでは、水位が100センチを超えると運転席側のパワーウインドーが作動しないなど、冠水によって乗用車に影響が出る結果となった。JAFは「冠水している道路に近づかないというリスクを回避した行動をとる事が重要」としている。
浸水で「電気系統が誤作動する恐れ」
台風や梅雨前線の影響で集中豪雨となった場合、高架下や立体交差など周囲より低い道路では冠水する危険性が高まる。JAF沖縄支部によると、沖縄県で記録的短時間大雨情報が発令された昨年5月31日、救援要請の受け付け件数は211件に到達。1日当たりの平均件数(81件)の2倍以上となった。
JAFはこれまで、車両が水没した際のテストを実施。セダンタイプの車が冠水した路上で立ち往生した場合を想定し、運転席のドアやパワーウインドーが正常に作動するかを、水位ごとに検証した。
テスト結果によると、水位が60センチまではドアもパワーウインドーも正常に作動。だが、70センチを超えた段階でフォグランプが点灯するなど誤作動が発生し、100センチを超えるとパワーウインドーが作動しなくなった。
JAFは「浸水により電気系統が誤作動する恐れがある」と指摘。「(水位が)浅い場合でも、長時間水中にいることで低体温症となり、大変危険。可能な限り早急に脱出するようにしてほしい」という。
スマホでは窓割れず「脱出用ハンマーの常備を」
冠水した際には、ドアや窓が正常に作動せず、車内に閉じ込められる危険性がある。そのため、JAFは「運転席の手の届く所に、脱出用ハンマーを常備しておくことが大切」だと呼びかける。
JAFでは、こうした事態を想定し、車内にありそうなスマートフォン、ビニール傘など5点と、脱出用ハンマー3点で窓が割れるかどうかテストを実施。スマートフォンやビニール傘では割ることができなかった一方で、金づちやポンチ(窓に押し当てて破壊)タイプなどの脱出用ハンマーでは割ることができたという。
ただ、「フロントガラスは合わせガラスで丈夫に作られているため、脱出用ハンマーでも割ることができない」と指摘。脱出用ハンマーで割る際のポイントとして「窓の四隅を垂直にたたいて割るようにしてほしい」としている。
また、脱出用ハンマーが常備されていなかった場合には「ドアが開きそうな状態であると感じたら、そのタイミングを逃さず、大きく息を吸い込み、足などに力を込めて押し開け、一気に脱出を図ってほしい」という。
JAFは「台風などの大雨の際は、可能な限り運転をしないことを推奨している」とした上で「どうしても運転しなければいけないときは、ハザードマップを確認してから運転する事が大切」としている。(浅野英介)