近鉄グループホールディングス(HD)の若井敬取締役は2日の決算会見で、傘下の近畿日本ツーリストが起した新型コロナウイルスワクチン関連事業での過大請求について、「コンプライアンス(法令順守)が現場で徹底されなかった」と釈明した。コロナ禍による業績危機を挽回しなければというプレッシャーがあったとみられる。ただ、私鉄最長の路線距離を誇る近鉄ブランドが負った傷は深い。今後の多角化路線を推し進めるためにも、課題はまず信頼回復だ。
「近ツーのブランドは大きく毀損している。来年以降、修学旅行などの受注にも当然影響する。これから旅行業は相当厳しい状況が続く」
大阪市内で会見した若井氏は、過大請求の影響をこう指摘した。