<独自>休眠預金、スタートアップに活用 「骨太の方針」に明記 社会課題に取り組む企業対象

首相官邸(矢島康弘撮影)
首相官邸(矢島康弘撮影)

政府が今月取りまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に、気候変動や少子化など社会課題の解決に取り組む「社会的起業家」の支援強化を盛り込むことが2日、分かった。国が社会的起業家を認証する制度を創設し、資金調達がしやすい環境を整備するほか、金融機関の口座に眠ったまま出し入れが10年以上ない休眠預金を使い、社会に有益な取り組みを行うスタートアップ(新興企業)支援に活用できるようにする。

スタートアップの育成は日本経済の復活に不可欠とされ、岸田文雄首相の看板政策「新しい資本主義」の柱にも掲げている。特に社会課題の解決に寄与するスタートアップに対しては、支援を手厚くする姿勢を明確にする。

産経新聞が入手した骨太の方針の素案の中では、「社会的起業家への支援を強化する」と明記。具体的には「休眠預金活用制度における出資の実現に向けた取り組みを進める」とした。

休眠預金は預金者の死亡や引っ越し、結婚などに伴い口座の存在が忘れられ、長期間放置されたままの預金で、近年は1300億~1500億円程度で推移している。こうした資金を有効活用するため、平成28年に成立した休眠預金活用法で、預金は保護した上で子供や障害者らを支援するNPO法人などに限り活用できる仕組みが導入された。今後はこの仕組みが使える対象を社会課題の解消に取り組む起業家にも広げ、開会中の通常国会に同法改正案を提出する。

また、社会的起業家を明確に区別するため、素案では「認証制度を早期に創設する」とも明記した。スタートアップは倒産リスクの高さから銀行などの融資も得られにくいが、企業の環境や社会問題への配慮を投資判断として活用する「ESG投資」が加速する中、国のお墨付きを与えることで資金調達環境の改善を図る。

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