純正品より2~3割安の再生インク業者の請求棄却 キヤノンのインクカートリッジ訴訟

大阪地裁
大阪地裁

インクカートリッジの仕様を変更し、リサイクル品を販売できなくしたのは独占禁止法違反にあたるとして、リサイクル品製造販売「エコリカ」(大阪市)が、「キヤノン」(東京)に計3千万円の損害賠償や違反行為の差し止めを求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であり、谷村武則裁判長は違法性を否定し、請求を棄却した。

エコリカは、家電量販店などから回収したキヤノンの使用済みインクカートリッジに自社のインクを注入し、純正品より2~3割安く販売してきた。

しかし、訴状によると、キヤノンは平成29年に発売したインクで、残量を表示するICチップの仕様を変更。リサイクル品をプリンターに取り付けても「インクなし」と表示されるようになり、「使い続けるとプリンターが故障するおそれがある」との警告も出るようになったという。

エコリカ側は、リサイクル品が販売できなくなった結果、純正品の市場シェアは約95%に上昇したとし、独禁法が禁じる「競争者に対する取引妨害」にあたると主張。一方のキヤノン側は「残量が表示されなくてもプリンターの印刷機能には影響がない」などと反論していた。

インクカートリッジを巡っては、互換品を販売する「エレコム」(大阪市)がメーカーの「ブラザー工業」(名古屋市)に損害賠償などを求めた訴訟で、令和3年9月、東京地裁が「設定変更に正当性はない」として独禁法違反を認めて約150万円の賠償を命じ、判決が確定している。

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