防衛省は2日、北朝鮮の「軍事偵察衛星」発射に備え、沖縄県・石垣島に配備した航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を陸上自衛隊石垣駐屯地から島南部の埋め立て地「南ぬ浜」に運び込み、迎撃態勢を取った。実際に打ち上げがあった5月31日は、台風2号接近のため、予定していたこの場所に展開できなかった。台風が沖縄付近から北上し、天候が回復した。
北朝鮮は早期に再発射すると主張。日本政府はもともとの予告期間である6月11日までの破壊措置命令を継続中だ。
埋め立て地には2日午後、PAC3機材を積み込んだ自衛隊車両が相次いで到着した。陸自隊員が一帯にバリケードを張り巡らせて警備に当たる中、空自隊員があわただしく準備を進め、間もなく2台の車両の発射機が北寄りの方角に向けて立ち上がった。
「甚だ遺憾」と与那国町長
北朝鮮による「軍事偵察衛星」発射の際、沖縄県・与那国島に配備された自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の発射機が畳まれたままだったことに関し、同県与那国町の糸数健一町長は2日、北朝鮮の発射に関する町の連絡会議で「畳んでいたと聞きびっくりしている。個人的には甚だ遺憾なことだ」と述べた。
強風の影響を踏まえ、自衛隊が発射機を畳んだままにしていたことについて「台風の中、弾道ミサイルが発射されて着弾していたらどうするのか。大きな課題があると思っている」と指摘。「国には真剣に考えていただきたい」とも語り、国に改善を求めた。
風が弱まった2日午前には、航空自衛隊宮古島分屯基地内で、PAC3の発射機が空に向けて上げられていることが確認できた。