梅雨入りした近畿地方は連日、すっきりしない天気が続き、きょうから3日にかけては大雨の予報となっている。災害にも注意しなければならない。この時期に見頃を迎えるのが紫陽花(アジサイ)だ。明治期の俳人、正岡子規は「紫陽花や/昨日の誠/今日の噓」と詠んだ。
▶土壌の酸度などによって赤、青、紫と花(ガク)の色が変わることで知られる紫陽花を、人の心の移り変わりの早さや、世の中の無常さにたとえたのだ。「七変化」と呼ばれることもある紫陽花の花言葉には「移り気」「浮気」「無常・無情」「神秘的」といった変化を示すワードが並ぶ。
▶ある意味、この句は、自らを戒める警句と受け止めることもできる。「昨日の誠」を「今日の噓」としないために、身を慎み、誠実な対応を心掛けなければならない。「七変化」とあだ名されるような人物に信頼がおけないのは、昔も今も変わらない。もっとも、「君子は豹変す」とも言うのだけれど…。