斉藤鉄夫国土交通相は2日の閣議後記者会見で、リニア中央新幹線を巡って静岡県の川勝平太知事が、国などの関係者に開業日程やルートの変更を非公式に打診したとの産経新聞の記事(電子版)について、「(リニア計画は)現行案が最も適当でコンセンサスになっている」と計画変更を否定した。
リニアを巡っては、環境への影響を懸念する川勝氏が静岡工区の着工を認めておらず、問題の長期化によってJR東海が目指す東京・品川-名古屋間の令和9年開業は絶望的な状況だ。
関係者によると、川勝氏は昨年12月ごろ、同社が計画する品川-名古屋間の先行開業を断念し、その後に予定される名古屋-大阪間の開業に合わせて全線一括開業を目指すよう非公式に要請していたという。
同時に長野県内の停車駅を現計画の飯田市よりも約100キロ北の松本市に設置し、静岡県内を通らないルートに変更することも求めたとされる。
川勝氏は昨夏、沿線都府県でつくる「リニア建設促進期成同盟会」加入に当たり、現行計画で整備を進めることに同意。だが、全線一括開業となれば品川-名古屋間の開業はさらに10年以上遅れる見込みとなる。
それだけに斉藤氏はこの日の会見で「その形(現行計画)で地域、関係者、静岡の理解を得られるよう取り組む」と改めて語った。
昨夏以降に開業時期やルートの変更を望む発言をしたかどうかについて、川勝氏は「(関係者と)意見交換することはあるが、(相手の)意思決定者に知事として公式の場で行ったことはない」と回答している。