トヨタ自動車は1日、2025年から米ケンタッキー州の工場で電気自動車(EV)の生産を始めると発表した。米国でのEV生産は初めてとなる。ノースカロライナ州に新設する車載用電池工場に21億ドル(約2900億円)を追加投資することも公表した。車両と電池を現地で一貫生産する体制を整え、米国のEV需要を取り込む。
ケンタッキー州の工場で生産するEVは、3列シートの新型のスポーツ用多目的車(SUV)。搭載する電池はノースカロライナ州の新工場で生産する。
ノースカロライナ州の新工場ではEV用の他にハイブリッド車(HV)向けの電池も製造する。新工場はグループの豊田通商と共同投資で、今回の追加分を含めた総投資額は59億ドルとなる。
トヨタが米国でEVの一貫生産に乗り出す背景には、環境規制の厳格化に伴うEV需要の拡大に加え、バイデン米政権が導入したEV購入優遇策がある。
米国で昨年成立したインフレ抑制法に盛り込まれた優遇策では、北米での車両の最終組み立てなどを条件に1台あたり最大7500ドル(約100万円)の税控除が適用される。7500ドルのうち半分にあたる3750ドル分の控除を受けるためには、北米で一定割合の車載電池を製造する必要もある。
米EV市場では、米テスラやゼネラル・モーターズ(GM)など米国勢が地元生産で先行する一方、独フォルクスワーゲン(VW)や韓国の現代自動車グループも米国生産を強化しており、トヨタも優遇策の条件を満たすことで販売競争力を確保する。ただ、トヨタの米国でのEV生産は25年からで対応の遅れは否めない。