政府は1日、「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)を官邸で開き、「次元の異なる少子化対策」の素案(こども未来戦略方針案)を示した。首相が表明した子供関連予算倍増の時期について2030年代初頭までに実現を目指すと明記した。児童手当は減額や不支給となる所得制限を撤廃。支給対象を「高校卒業まで」に拡大し、0歳から高校生まで全ての子供が対象となる。第3子以降は月3万円を支給する。
素案では、対策の裏付けとなる財源について、歳出改革を徹底的に進め、消費税を含め増税はしない方針を示した。首相は会議で「国民に実質的な追加負担を求めることなく少子化対策を進める」と述べた。
素案では、今後3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」で年3兆円台半ばの追加予算を投入すると明記。子供1人当たりの家族関係支出で「経済協力開発機構(OECD)のトップ水準のスウェーデンに達する水準」と記した。
また、令和8年度をめどに出産費用(正常分娩(ぶんべん))の保険適用導入を含めた支援策を検討する。7年度から育児休業給付を休業前の手取りの実質10割に上げる。
就労要件を問わず誰でも保育所を利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」を導入する。高等教育費の負担軽減に向け、奨学金制度を充実し、日本版HECS(授業料後払い制度)も創設する。
歳出削減のほか、企業や国民が負担する「支援金制度」を設け、10年度までに安定的な財源を確保する。当面の財源不足は「こども特例公債」でつなぐ。子供政策の関連予算の収支を特別会計「こども金庫」で一元管理し、「見える化」も進める。
政府は次回会議で素案を「戦略方針」として決定し、6月策定の経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させる。