「名人を保持すれば文句なし。誰が見ても圧倒的な第一人者といえる」。40年間、21歳2カ月の名人獲得最年少記録保持者だった谷川浩司十七世名人(61)は、藤井聡太新名人(20)の偉業をそうたたえた。更新がほぼ不可能とされた谷川氏の記録。20歳10カ月の藤井新名人が挑むには今回が最初で最後のチャンスだったが、圧倒的な強さで塗り替え、金字塔をまた一つ打ち立てた。
谷川氏「破られることはないだろうと」
「数年前まで、破られることはないだろうと思っていました」。こう谷川氏が話すのは、名人戦は八大タイトルの中でも挑戦権を得るまで最短でも5年と最も時間を要し、獲得するのが困難だからだ。
名人戦の予選にあたる順位戦のクラスは5段階あり、プロになった棋士のほとんどが一番下のクラス「C級2組」に参加する。1年を通し、クラスごとに1人10局指すか総当たり戦をし、成績上位の2~3人が一つ上のクラスに上がれる。成績が悪ければ降級する。最上位のクラス「A級」で優勝した棋士が名人との七番勝負に挑戦できる仕組みだ。