金与正氏「偵察衛星は遠からず宇宙へ」 米との対話拒否 打ち上げ写真公開

5月31日、平安北道鉄山郡の西海衛星発射場で新型衛星運搬ロケット「チョンリマ(千里馬)1」型に搭載して打ち上げられた軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡=望遠鏡)1」号(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
5月31日、平安北道鉄山郡の西海衛星発射場で新型衛星運搬ロケット「チョンリマ(千里馬)1」型に搭載して打ち上げられた軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡=望遠鏡)1」号(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キムヨジョン)党副部長は1日、北朝鮮の軍事偵察衛星が「遠からず宇宙軌道に入り、任務遂行に着手することになる」と談話で表明、5月31日に失敗した打ち上げを早期に再び実施する方針を強調した。朝鮮中央通信が伝えた。

発射は国連安全保障理事会決議違反だとする米国の非難に対し、無数の衛星や偵察機で北朝鮮の動向を監視している米国の「居直りだ」と反論。その上で「宇宙利用の主権的権利の侵害だ」と主張した。打ち上げを巡る国際社会の否定的反応を金政権が強く意識していることの裏返しといえそうだ。

米政府が「北朝鮮が核を使えば政権が終焉(しゅうえん)する」と警告しながら、対話も呼びかけていることに関しては、「対話する内容もなく対話の必要性も感じない」と一蹴。北朝鮮の主権を守るため「いかなる行動もする準備ができている」と強調した。米国との対決の長期化に備え、「抑止力向上に全てを尽くす」とし、核・ミサイル開発に一層注力する立場を示した。

朝鮮労働党の金与正副部長=2022年8月10日、平壌(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
朝鮮労働党の金与正副部長=2022年8月10日、平壌(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

朝鮮中央通信は1日、談話に添える形で打ち上げ場面とみられる写真を配信したが、談話は失敗について言及していない。北朝鮮は31日、打ち上げから間もなく、外国向けの朝鮮中央通信を通じて失敗を認めたものの、国内住民も目にする党機関紙の労働新聞やテレビ、ラジオでは失敗の事実に触れていない。

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