カスハラ対策など推進 空港スタッフ不足で国交省

新型コロナウイルス対応の水際対策が緩和された5月、混み合う羽田空港の国際線出発カウンター=東京都太田区(萩原悠久人撮影)
新型コロナウイルス対応の水際対策が緩和された5月、混み合う羽田空港の国際線出発カウンター=東京都太田区(萩原悠久人撮影)

国土交通省は1日、深刻化する空港業務の人手不足対策を検討する有識者会議で、中間取りまとめ案を示し、概ね了承された。賃上げや乗客からの嫌がらせ「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策などの処遇改善に加え、業界団体の新設なども盛り込まれた。

対象となる業務は、ターミナルのチェックインや搭乗ゲートでの案内、航空機への給油、荷物の積み込みなどの「グランドハンドリング(グラハン)」、保安検査といった地上業務だ。

低水準の賃金や長時間労働などで離職率が高い上、新型コロナウイルス禍を受けた採用中断や「不安定な業界」とのイメージ定着もあり、コロナ禍前に比べて人員が約2割減少した。訪日客らの利用増が続く中、業務に支障をきたしかねない状況という。

中間とりまとめ案では、短期(令和5年秋まで)、中期(5年度末まで)、長期(6年度以降)に分けて取り組みを設定した。

短期では、航空会社などが賃上げをはじめとする処遇改善に努め、航空業界はグラハンの業界団体設立やカスハラ対策を推進。業界団体はさっそく8月にも設立されるという。

中期では、航空会社の系列ごとに異なる必要資格の共通化や、国による人材確保に向けた支援などに取り組み、長期ではスムーズな手荷物検査が可能となる「スマートレーン」の導入などを掲げた。

また、空港業務を「国民生活や社会経済活動を支える航空ネットワークの根幹」と位置付けるとともに、「『航空業界』というブランドや現場で働く人の使命感などに甘え、やりがいの搾取を続けている現状は一刻も早く改善しなければならない」と厳しく指摘した。(福田涼太郎)

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