塩野義製薬は1日、新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症のワクチン事業を強化し、令和12年度までに世界で売上高1千億円規模に育てる目標を発表した。また、新型コロナの流行が今後も継続し、昨年11月に緊急承認された飲み薬「ゾコーバ」をはじめ治療薬は需要が引き続き見込めると予想した。
同社は2~12年度の中期経営計画を改訂し、売上高に当たる売上収益の12年度の目標を、従来の6千億円から8千億円に引き上げると発表した。
ワクチン事業では海外との競争力を強化。7年度までに国内で実績を積み、12年度までに中国や東南アジア、同年度以降に欧米市場への展開を狙う。
ゾコーバについては、承認された軽症・中等症患者への処方に加えて、発症予防や後遺症リスクへの効果を検証。海外でもアジアのほか、6年度以降に欧米での供給を目指す。今年5月に国内で第1段階の臨床試験(治験)を開始した、より飲みやすい新型コロナ飲み薬の開発も進める。
同社の手代木功社長は記者会見で「この3年間でコロナ薬を歴史上ないほどのスピードで開発できた。この経験を次の成長にどうつなげていけるかが問われる」と語った。(牛島要平)