首相公邸内での不適切な行動が批判された長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)について、岸田文雄首相は5月29日になって更迭を表明した。この騒動を見て、中世フィレンツェの政治思想家、マキャベリの著書『君主論』の次の言葉を思い浮かべた人は少なくないことだろう。
「君主にとって、秘書官を選定することはけっして軽々しいことではない。君主の思慮一つで、よい人材が得られることがあり、また、そうでない人物が用いられることもある。そのため、ある君主の頭脳のよしあしを推測するには、まず最初に君主の側近を見ればいい」(池田廉訳)
組閣の記念撮影にも使われた赤いじゅうたんが敷かれた階段で、翔太郎氏が前列中央に納まって撮影された集合写真などを週刊文春が同24日に電子版で最初に報じた問題である。