平成31年に起きた東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(36)ら遺族9人が、運転していた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者(92)に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が1日、東京地裁で開かれた。松永さんは尋問で、事故から4年が経過した心境を「愛情は変わらないが、あまりにも幸せすぎたので夢だったんじゃないかと思う。記憶が薄れていくのがつらい」と語った。
事故で妻、真菜さん=当時(31)=と長女、莉子ちゃん=同(3)=を失った。松永さんは、飯塚受刑者から遺族に対する直接の謝罪がないことについて「反省がなく、真菜と莉子の命のことを考えていない。直接会って、どう思っているのか話をしてみたい」と述べた。
日常生活の中でランドセルを背負っている子を見かけることに触れ「そばで成長を見たかった。こうなっていたのかなと思います」と涙ぐみながら話した。