台風2号は1日から2日にかけて、先島諸島や沖縄本島に最も近づく見込みだ。台風と梅雨前線の影響で、東日本と西日本でも大雨になる可能性がある。
土砂災害や河川氾濫、高潮など地域ごとの災害リスクを改めて確認し、水害から命を守るための備えを徹底したい。
6月1日は「気象記念日」である。明治8(1875)年に東京気象台で気象と地震の観測が始まった日だが、気象庁職員ら関係者を除けば、関心を持つ人は多くないだろう。国民全体が気象に関心を寄せ、防災に取り組む有意義な一日とすべきだ。
名称を「気象と防災の日」と改め、9月1日と対になる国民的な「もう一つの防災の日」と位置付けることを提言する。水害をはじめとする気象災害について学び、国、自治体、国民が連携して備える契機とするのである。
地球温暖化の影響とされる気象の激甚化で、集中豪雨の頻度と激しさが増し、台風は強大化する傾向にある。
100年前に関東大震災が起きた9月1日の防災の日は、地震防災に軸足が置かれてきた。阪神大震災が起きた「1・17」、東日本大震災の「3・11」、世界津波の日「11・5」など地震、津波について学び、備える機会は複数あるのに、気象災害についてこれに相当する日はない。地震、津波を想定した避難訓練が各地で行われているのに対し、集中豪雨や台風を想定した防災訓練はあまり実施されていない。
西日本豪雨では災害前に訓練に取り組み、全住民の無事避難につなげた地域がある。きっかけがあれば「訓練をやろう」と動き出す地域、自治体は多いはずだ。
豪雨や台風による水害は、気象災害の中でも多くの人と広い地域に被害を及ぼす。日本列島が雨季に入る頃に水害の怖さを学び、備える意義は大きい。
地球温暖化による気象の激甚化は、温室効果ガスの排出を今世紀半ばまでに実質ゼロにできたとしても、すぐには止まらない。災害から命を守る取り組みは、国民が長期にわたって気候変動に向き合う第一歩にもなる。
毎年のように発生する大規模水害から命を守るために、そして次世代、次々世代の命を激甚気象から救うために、「気象と防災の日」制定を強く求める。