動画配信サービスなどを手掛けるドワンゴ(東京)と日本財団は1日、全ての講義をオンラインで行う通信制大学を共同で新設し、令和7年春の開校を目指すと発表した。大学進学率の地域間格差や世帯所得による格差といった課題解決に向け、今年10月には文部科学省へ大学設置の認可申請を行いたい考え。6日には高校生や保護者向けの説明会を開く。
新設を目指す「ZEN(ゼン)大学」(仮称)は全ての授業をオンラインによる動画配信で行うため、いつどこでも学べるのが特徴。定員は1学年5千人、年間授業料は38万円を予定している。知能情報社会学部の1学部のみで、AI(人工知能)の浸透とともに学問領域も統合されていくとの推察をもとに、学際的な学部となるもようだ。
ドワンゴは平成28年にオンラインで学ぶ通信制高校「N高等学校」を開校して以来、オンライン教育プログラムを独自に開発するなど運営ノウハウを持つ。日本財団は地域による大学進学格差などに着目し、オンライン大学構想をドワンゴ側に打診したという。
東京都内で開いた記者説明会で、ドワンゴ顧問の川上量生氏は大学の名称は「禅」に由来するとし、「海外から見た東洋の知性、英知を代表する単語であるため」と説明。その上で、「オンライン大学は日本の格差問題を解決できる可能性がある。海外の事例やN高での経験をもとに、授業の質と量が非常に優れたプログラムをもつオンライン大学を作りたい」と話した。(日野稚子)