燃料の安定性に問題か 「衛星搭載ロケット墜落」北朝鮮メディア発表

北朝鮮の国家宇宙開発局を現地指導する金正恩朝鮮労働党総書記(右端)=4月18日(朝鮮中央通信=共同)(画像の一部が加工されています)
北朝鮮の国家宇宙開発局を現地指導する金正恩朝鮮労働党総書記(右端)=4月18日(朝鮮中央通信=共同)(画像の一部が加工されています)

【ソウル=時吉達也】北朝鮮の朝鮮中央通信は31日、同日午前6時27分に西部東倉里(トンチャンリ)の西海(ソヘ)衛星発射場から軍事偵察衛星を搭載したロケットを発射したが、朝鮮半島西方の黄海に墜落したと伝えた。衛星開発を担う国家宇宙開発局が具体的な原因解明に着手し、「なるべく早く2度目の発射に踏み切る」としている。

韓国軍によると、発射体は「正常でない飛行」の後に韓国西部於青島(オチョンド)の約200キロ西方に落下。韓国軍は発射体の一部とみられる部品の引き揚げ作業を進めている。

同通信によると、衛星は1段目の推進体部分が分離した後、2段目の推進体に異常が発生した。国家宇宙開発局は、使用された燃料の安定性などに問題があったとの見方を示している。

北朝鮮は日本政府に対し、「人工衛星」の打ち上げを31日午前0時から6月11日午前0時までの間に実施すると事前に通告。北朝鮮が衛星と主張する発射体を打ち上げるのは、2016年2月以来だった。

韓国大統領府は31日、趙太庸(チョテヨン)国家安保室長の主宰で国家安全保障会議(NSC)を開き、発射体への対応を協議した。ソウル市は同日午前6時32分ごろ、ミサイル攻撃などを想定した警戒警報を発令したが、発射体の経路には該当せず、韓国政府は誤発令だったと訂正した。

衛星打ち上げをめぐっては、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機」を「6月にすぐ発射する」と表明。国際海事機関(IMO)も30日、北朝鮮から同日、日本への通告と同様に31日~6月11日に衛星を発射するとの連絡を受けたと明らかにした。

北朝鮮は昨年12月、軍事偵察衛星開発に向けた「最終関門の重要実験」を実施。北朝鮮メディアは、金正恩(キムジョンウン)党総書記が今月16日に発射準備委員会の行動計画を承認したと報じ、衛星の打ち上げは秒読みとみられていた。

偵察衛星保有にかける金正恩氏、2回目の発射へ 中露も援護か

会員限定記事会員サービス詳細