弁護士がチャットGPTで作成した裁判書類にミス、実在しない判例6件 米ニューヨーク

チャットGPTと開発元の米オープンAIのロゴ(ロイター)
チャットGPTと開発元の米オープンAIのロゴ(ロイター)

【ニューヨーク=平田雄介】米ニューヨークの連邦裁判所で審理中の民事訴訟で、弁護士が対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を使って作成した準備書面に、実在しない6件の判例が含まれていた。弁護士は「チャットGPTが虚偽内容を示す可能性に気づいていなかった」とし、「信頼性が完全に検証されるまで二度と頼らない」と述べた。米紙ニューヨーク・タイムズなどが伝えた。

弁護士は、2019年にニューヨーク行き航空機内で配膳カートがひざに当たって負傷したとして南米の航空会社を訴える男性の代理人。裁判所へ提出した書面で引用した「航空会社が被告となった訴訟の判例」が実在していなかった。

航空会社側の弁護団や裁判所が「判例データベースで確認できない」として問い合わせたところ、弁護士が書面の作成にチャットGPTを使ったと分かった。

弁護士は実務歴30年のベテランで、チャットGPTを法的調査に利用したのは「初めて」という。弁護士は、裁判所や航空会社を欺く意図はなかったとし、「非常に後悔している」と述べた。

裁判所は「前代未聞」と指摘、弁護士の処分の可否などを検討するための審理を6月8日に開く予定。

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