【北京=三塚聖平】中国国家統計局は31日、景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)が5月は48・8だったと発表した。前月から0・4ポイントの下落で、好不況を判断する節目の「50」を2カ月連続で下回った。習近平政権は「ゼロコロナ」政策を終えて経済成長を重視する方針に転じたものの、景気回復に早くも鈍化傾向が出ている。
PMIは「50」を上回れば経済活動の拡大を、下回れば縮小を意味する。5月の内訳では、柱となる生産の指数が前月から0・6ポイント低下して49・6と節目を割り込んだ。新規受注の指数も0・5ポイント下落して48・3と悪化を続けている。輸出向けの新規受注も前月から0・4ポイント下がって47・2と節目割れが続いている。
企業規模別でみると、中堅や中小零細の低迷が目立っている。大企業は前月から0・7ポイント回復して50・0になったのに対し、中堅企業が前月から1・6ポイント下落して47・6、中小零細企業が前月から1・1ポイント低下して47・9だった。ゼロコロナ政策が長期化した影響もあって、景気回復は広がりを欠いているとの指摘がある。
統計局は「製造業の市場ニーズは依然として明らかに不足している」と分析している。
また、非製造業の景況感を示す指数は、前月より1・9ポイント低い54・5だった。厳しい行動制限を伴ったゼロコロナ政策の終了により運輸関係は好調だった一方で、習政権の統制強化の影響を受けている不動産関係は低迷した。