【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は31日、「軍事偵察衛星打ち上げ」と称して発射した事実上の弾道ミサイルが墜落すると、即座に失敗を公表した。同時に「可及的速やかな期間内」に再発射すると宣言し、偵察衛星保有に向けた金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の並々ならない意欲を見せつけた。
朝鮮中央通信は打ち上げから約2時間半後に「軍事偵察衛星発射時に事故発生」というタイトルで事故原因にまで踏み込んだ報道を行った。金氏が最高指導者に就任間もない2012年4月に「衛星」を打ち上げ、空中爆発した際も早々に失敗を認めており、国際社会の衆目を意識せざるを得ない「衛星」発射で、隠蔽せず失敗を認めるのは金氏のスタイルともいえる。
「核・ミサイル開発で失敗が起きても金氏は幹部や技術者を処罰しなかった。共産主義社会では異例なことだ」。北朝鮮内に情報網を持つ韓国の専門家はこう説明する。逆に科学者や技術者への高額報酬や高級住宅を保証し、「失敗を恐れるな」と開発続行を鼓舞したという。彼の代に入って核・ミサイル技術が急速に発展したのも、金氏のこの熱の入れ方が大きく影響しているとされる。