北「衛星」次回発射「6月中」分析も 偵察能力は疑問

【ソウル=時吉達也】北朝鮮は31日、「軍事偵察衛星」の墜落原因を速やかに調べ、次回の打ち上げに臨むと明言した。専門家らは早ければ6月中にも再発射が強行されると分析する。ただ、打ち上げが成功した場合でも、現時点での軍事衛星の偵察能力には疑問符がつくとの見方が多い。

今回の発射では1段目のエンジン分離後、2段目のエンジン点火に異常が生じ、飛翔体が推進力を失った。韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は31日、1段目分離後に「無理な経路変更」を図り、技術的な問題が生じたとの見方を国会情報委員会で報告した。

衛星開発を担う北朝鮮の国家宇宙開発局は31日、新型エンジンの信頼性、燃料の安定性に「重大な欠陥」があると認め、次の打ち上げまでに「様々な部分試験」を行うとした。

北朝鮮が2012年に「人工衛星」と称する飛翔体を発射、直後に空中爆発した際には、次の打ち上げまでに8カ月を要した。しかし、近年は失敗しても短期間で弾道ミサイル発射を繰り返しながら技術改良を進めており、韓国航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授は「数週間以内の再発射も可能」との見方を示す。

衛星の軌道投入に成功した場合、軍事偵察の役割を十分に果たせるかが焦点となる。過去に公開された宇宙での撮影画像は粗さが目立ち、「解像度は韓国の衛星の10分の1」と指摘された。昨年12月には金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が「1度の試験に高価な高解像カメラを設置する人間はいない」と反論する一幕もあった。

米政府系放送VOAは、世界各地の船舶などで衛星データを回収する各国と異なり、北朝鮮の画像受信は衛星が朝鮮半島上空を通過する瞬間などに限られると指摘。情報収集能力は「低性能の商業衛星水準」にとどまるとする米専門家の分析を伝えた。

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