「軍事衛星搭載ロケット墜落」北朝鮮メディア発表

韓国の国旗
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【ソウル=時吉達也】韓国軍合同参謀本部は31日、北朝鮮が同日午前6時29分ごろ、西部・東倉里(トンチャンリ)付近から南方に向け「宇宙発射体」を発射したが、発射体が「正常でない飛行」をした後、朝鮮半島西方の黄海に落下したと明らかにした。北朝鮮の朝鮮中央通信も、「軍事偵察衛星を搭載したロケットが墜落した」と伝えた。

北朝鮮は日本政府に対し、「人工衛星」の打ち上げを31日午前0時から6月11日午前0時までの間に実施すると通告していた。北朝鮮が衛星と主張する発射体を打ち上げるのは、2016年2月以来だった。

韓国軍によると、発射体は韓国西部於青島(オチョンド)の約200キロ西方に落下した。朝鮮中央通信は、1段目の推進体が衛星から分離された後、2段目の推進体に異常が生じたと説明。衛星開発を担う国家宇宙開発局が具体的な原因解明に着手し、「なるべく早く2度目の発射に踏み切る」としている。

ソウル市は31日午前6時32分ごろ、ミサイル攻撃などを想定した警戒警報を発令したが、発射体の経路には該当せず、韓国政府は誤発令だったと訂正した。

衛星打ち上げをめぐり、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長は29日、「軍事偵察衛星1号機」を「6月にすぐ発射する」と表明。国際海事機関(IMO)も30日、北朝鮮から同日、日本への通告と同様に31日~6月11日に衛星を発射するとの連絡を受けたと明らかにした。

推進体などの落下が予定される海域について、北朝鮮は朝鮮半島西側2カ所、フィリピン東部1カ所と通告していた。

北朝鮮は昨年12月、軍事偵察衛星開発に向けた「最終関門の重要実験」を実施。北朝鮮メディアは、金正恩(キムジョンウン)党総書記が発射準備委員会を今月16日に現地視察し、同委の行動計画を承認したと報道、衛星の打ち上げは秒読みとみられていた。

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