回転ずしチェーン「はま寿司」の親会社に在職中、営業秘密を不正取得したなどとして不正競争防止法違反(営業秘密領得など)の罪に問われた「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」前社長、田辺公己被告(47)の判決公判が31日、東京地裁で開かれた。平出喜一裁判官は懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円(求刑懲役4年、罰金200万円)の判決を言い渡した。
平出裁判官は判決理由で、田辺被告が「転職先での地位や評価を得たいという利欲的な動機」で、はま寿司の営業秘密を持ち出し使用したと指摘。一方、はま寿司側に「具体的な損害が発生したことまではうかがわれない」として、被告が反省の態度を示していることも踏まえ、執行猶予とするのが相当とした。
判決によると、田辺被告は、はま寿司の親会社「ゼンショーホールディングス」に幹部として勤務していた令和2年9月、商品原価データなどを取得。カッパ社に転職後の同年11~12月、同社社員の大友英昭被告(43)=同罪で公判中=とデータを共有し、はま寿司とカッパ社の商品原価を比べたファイルを作成した。
事件を巡っては大友被告とともに法人としてのカッパ社も同罪に問われ、いずれも無罪を主張している。
判決を受け、田辺被告は代理人弁護士を通じ、「判決は真摯に受け止め、信頼の回復に努める」とコメント。カッパ社は「全社をあげて情報管理体制とコンプライアンス意識の醸成を徹底し、再発防止に努める」とのコメントを出した。