「日本版CDC」設立法成立 次の感染症危機に備える

国立感染症研究所村山庁舎=武蔵村山市
国立感染症研究所村山庁舎=武蔵村山市

次の感染症危機に備えるため、国立感染症研究所(感染研)と国立国際医療研究センター(NCGM)を統合し、新たな専門家組織として「国立健康危機管理研究機構」を設立するための法案が31日の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。米国で感染症対策を中心的に担う疾病対策センター(CDC)をモデルとし、令和7年度以降に設置する。

新機構は、検査手法の開発や地方衛生研究所の支援、基礎的な調査・研究を担ってきた感染研と、患者の診療を行い、臨床情報の集積拠点となっていたNCGMを統合。感染症の大流行など有事に調査・分析から臨床までを一体的に担う。新機構のトップとなる理事長は、厚生労働相が任命する。

新型コロナウイルス禍では感染状況の把握や医療体制の整備が後手に回り、治療薬などの研究開発も遅れた。その教訓を踏まえ、新機構は新たな感染症が発生した初期段階から積極的に患者を受け入れて診療を行い、詳しい分析も同時に行う。

得られた科学的知見を、政府の司令塔組織として9月に内閣官房に設置される「内閣感染症危機管理統括庁」や厚労省に新設される感染症対策部に提供する。政府の迅速な政策決定や対応につなげる狙いがある。

ワクチンや治療薬開発のため、平時から製薬企業や海外の医療機関などとの「国際治験ネットワーク」の構築や、医療人材の育成や派遣も行う。

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