令和3年10月の岸田文雄政権発足後、自民党と公明党の不和がたびたび表面化している。
4年夏の参院選に向けて、改選数3以上の5選挙区で自民が公明候補を推薦する一方、32ある1人区で公明が自民候補を推薦する「相互推薦」について、公明が唐突に見送り方針を表明し、自民側を慌てさせた。公明側には、相互推薦の協定締結が自民の都合で遅れたことへの不満があった。
政権を直撃した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題でも、昨年10月、首相が宗教法人法に基づく質問権行使に向けた対応を指示したのに対し、公明は宗教団体の創価学会を支持母体としていることもあり、山口那津男代表は記者会見で「事前に説明は一切なかった」と不快感をあらわにした。
自公の連携不足の背景には、ベテラン議員の引退などで、信頼関係を下支えするパイプ役の不在がある。
自公連立は20年以上に及ぶが、憲法改正や安全保障政策などで主張が異なることもあり、両党はこれまで、相互の有力議員が緊密に意思疎通を図ってきた。だが、安倍晋三元首相と信頼関係を築いた公明の太田昭宏前代表らが一昨年に引退。また、自民内で公明や創価学会に太いパイプを持つ菅義偉前首相、二階俊博元幹事長らは執行部を外れ、首相と距離を置く。
定期的な開催を原則とする自公両党の幹事長と国対委員長による「2幹2国」も、岸田政権下で一時不定期開催となった。現在は週1回開催が定例化されたが、安倍、菅両政権時代に比べて短時間で終わるケースが目立つ。(児玉佳子)