政府は30日、花粉症対策に関する関係閣僚会議を首相官邸で開いた。花粉の発生源となるスギの人工林を10年後に約2割減少させ、30年後には花粉の発生量の半減を目指す対策の全体像をとりまとめた。6月に策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む。
岸田文雄首相は会議で、「(花粉症は)一朝一夕で解決するものではなく、将来を見据えて取り組みを着実に実行することが必要だ」と述べた。
対策では、スギ人工林の伐採面積を現在の年間約5万ヘクタールから約7万ヘクタールに拡大。10年後には花粉飛散の少ない苗木の生産割合も現在の約5割から9割以上に引き上げる。
住宅メーカーが木材に伐採スギを利用しやすくする仕組みを設けるほか、労働力不足を補うため、高性能な林業機械の導入も支援する。取り組みを盛り込んだ「林業活性化・木材利用推進パッケージ」(仮称)を年内に策定する。
同時に、スーパーコンピューターや人工知能(AI)を用い、花粉飛散予測に特化した気象情報を提供。アレルギー症状の根治を目指す「舌下免疫療法」の治療薬を現在の年25万人分から5年以内に100万人分に増産するよう促す。企業にはテレワークなど花粉を避けた働き方の推進を求める。
花粉症対策を巡っては、首相が4月3日の参院決算委員会で「花粉症はわが国の社会問題と言っていい問題だ」と指摘。同月に関係閣僚会議を設置し、急ピッチで具体的な対策の検討を進めていた。