コロナ禍が落ち着き、全国の社寺の例大祭が4年ぶりに復活しているが、27日に行われた廣瀬神社(大分県竹田市)の例大祭ほどタイムリーなものはないだろう。その適時性は、土居昌弘市長が奏上した祭文(さいもん)が雄弁に物語る。「ウクライナ情勢が長期化する今ほど、ご祭神の人間性を継承し、遺徳を偲(しの)んで平和を考える時はありません」。
▶昭和10(1935)年創建の同神社のご祭神は廣瀬武夫。明治時代の日露戦争で、部下を救おうとして壮絶な戦死を遂げた海軍の廣瀬中佐である。日露戦争は、帝政ロシアの南下政策に危機感を持った日本が挑む形で開戦した。当時の日本は、維新後わずか37年の小国だった。
▶日露戦争は、日本海海戦の大勝などで日本が辛勝した。負けていれば、朝鮮半島から日本列島までがロシアの支配下に置かれていたことだろう。ウクライナ情勢は、ロシアという国の領土欲が今も変わっていないことを示している。決して人ごとではない。