ベトナム・ダナンで6月5日に開幕する第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)で藤井聡太棋聖(20)=竜王・王位・叡王・棋王・王将=に挑戦する佐々木大地七段(28)は、7月開幕の王位戦七番勝負への挑戦も決め、王位を保持する藤井棋聖との「十二番勝負」に臨む。初のタイトル戦でまとう和服は、師匠の深浦康市九段(51)が初タイトルを獲得した際に着ていたもの。心臓の病を抱えていた少年の頃より、棋士の道を二人三脚で歩んできた師匠から贈られた。「改めて師匠の偉大さを感じる」。最強のタイトルホルダーとの熱い夏が始まる。
命の危機を支えた将棋
「タイトル戦はプロになってからの念願の舞台。藤井棋聖に自分の力を出し切って全力でぶつかりたい」
佐々木七段はタイトル初挑戦となった棋聖戦への抱負をそう述べた。長崎県対馬市出身で平成20年に棋士養成機関「奨励会」に入り、28年にプロ入り。今年4月20日の棋聖戦決勝トーナメント準決勝で渡辺明名人(39)を、4日後の挑戦者決定戦で永瀬拓矢王座(30)らトップ棋士を破って挑戦権を得た。