政府は、保育所の利用要件を緩和する新制度「こども誰でも通園制度(仮称)」を令和8年度から全国で実施する方向で調整に入った。同制度は岸田文雄首相の掲げる「次元の異なる少子化対策」の目玉の1つで、今年6月に決定する「こども未来戦略方針」に盛り込み、来年1月召集の通常国会に関連法案を提出する。複数の政府関係者が30日、明らかにした。
新制度は親の就労時間を問わず、誰でも時間単位で保育所を利用できるようにするもので、子育て世帯の育児負担を軽減する狙いがある。保育所は従来、親の仕事や病気など「保育の必要性」が認められなければ入園できず、支援を得られない親が孤立したり、虐待につながったりするリスクが指摘されていた。
政府は今年度、保育所や幼稚園に通っていない0~5歳の子供を、定員に空きのある保育所で週1~2回程度受け入れるモデル事業を、仙台市や福岡市など31市区町村の計50施設で実施する予定で、課題を洗い出し、全国展開につなげる。
制度化にあたっては、新規立法のほか、児童福祉法や子ども・子育て支援法などの改正で対応する案が浮上している。
少子化の進行や保育施設の増設で、一部の地域では入園者の定員割れが生じており、新制度はこうした空きを活用して保育の門戸拡大につなげる。ただ、保育士不足で対応できる施設は限定的とみられ、政府は保育士の処遇改善や配置基準の見直しも進める考えだ。
厚生労働省によると、保育所や幼稚園、認定こども園に通っていない0~5歳児は全国で約182万人(令和元年度)に上る。