立憲民主党の岡田克也幹事長は30日の記者会見で、岸田文雄首相の長男、翔太郎首相秘書官(政務担当)の更迭を巡り、「もっと迅速に対応すべきだった」と述べ、後手に回った首相の対応を批判した。もっとも、その足元では「サル」発言などで幹事長注意の処分を下した小西洋之参院議員が、公然と注意内容に沿わない発信をツイッターで行っている。見て見ぬふりを決め込む立民は身内への甘さが際立つ。
岡田氏は会見で、小西氏の問題を巡り、「幹事長注意の根拠となった3つの点は明確に会見で述べている。そこにすべて込められており、これ以上申し上げることはない」と語り、問題は決着済みとの認識を重ねて示した。
その一方で、他党には厳しい視線を向けた。
日本維新の会は、スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題を巡る国会質疑で党の指示に従わなかったとして、梅村みずほ参院議員を6カ月の党員資格停止処分とした。岡田氏は「演説内容は党として認めている。誰も責任を負わなくていいのか」とさらなる対応を迫った。
しかし、こうした主張は説得力を欠く。小西氏は処分を受けた後も注意の内容に沿わない発信をツイッターで続けており、立民は党のガバナンスが機能しているとはいえない状況だからだ。
小西氏は3月29日、衆院憲法審査会の毎週開催を「サルがやること」と批判。翌30日の記者会見でサル発言を撤回したものの、発言は「オフレコの場」であり、「即時に撤回した」と釈明した。
一方、岡田氏は処分を発表した4月11日の会見で、①記者からオンレコと認識されてもやむを得ない②オフレコだとしても不適切で、「(発言を)明確に取り消したとまでは言えない」と指摘されてもやむを得ない③不適切な表現で記事の訂正要求を行うなど、攻撃的で誤解を招きかねない慎重さを欠いたものがあった-と根拠を説明した。
しかし小西氏は5月18日、ツイッターに「私の発言はオフレコと明言し、かつ、息つく暇もなく撤回していた」と投稿。同28日には「報道による名誉毀損の被害者として記事の訂正を求め、あるいは抗議をしただけ」とツイートした。
立民関係者は「本人の反省はゼロだ。もっと厳しい処分をすべきだった」と嘆息した。(大橋拓史)