明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)が開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省などと協議の上、変異株対応での承認申請を検討していることが30日、分かった。永里敏秋社長が産経新聞の取材で明らかにした。当初は従来株対応のワクチンで今春の承認申請を想定していたが、今後の定期接種化なども見据え、変異株対応での承認を目指す。また、季節性インフルエンザワクチンとの混合ワクチンの開発も進めていることを明らかにした。
KMバイオは季節性インフルエンザワクチンなどでも使われている、毒性をなくしたウイルスを使った不活化ワクチンで新型コロナワクチンを開発している。現在、成人と小児を対象に最終段階となる臨床試験(治験)を実施しており、小児の解析データは秋ごろに出る見込みという。
現在の治験で使っているのは従来株対応のワクチンで、同社は今後、変異株に対応できるワクチンが社会に必要として厚労省などと協議し、変異株対応ワクチンのデータを集める方針。このため、早ければ6月中としていた承認申請は大きくずれ込むことになる。
国産ワクチンを開発中の塩野義製薬と第一三共はすでに承認申請を行っているが、いずれも従来株対応での申請。永里社長は「現在の流行状況を見れば、変異株対応のワクチンの承認が必要になる。子供の新型コロナワクチンの接種率が低い中、不活化ワクチンへの期待は高いと考えている。今進めている治験のデータに変異株対応のデータを積み上げて、必ず実用化させたい」と話した。
また、承認申請の時期は明言しなかったが、変異株対応のワクチンが承認された後には、季節性インフルエンザワクチンとの混合ワクチンの実用化も視野に開発を進めていることも明らかにした。