人工知能(AI)を搭載した機械が誤作動を起こし、従業員が負傷したり、資産を失ったりした-。AIが原因で企業や個人にこうした損害が発生した場合、賠償などの法的責任を誰が負うのか。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でも主要テーマの一つとなったAIを巡り、法整備の在り方に国際的な関心が高まっている。明確な法規定のない日本がルール作りで後れをとれば、国内企業のAI市場への進出を妨げる恐れもある。
ソフト・ローで対応
AIを原因とする損害に特化し、規定した国内法は存在しない。所管省庁は総務省や経済産業省、デジタル庁などにまたがるが、現状では包括的にAIを対象とした新たな立法は想定されておらず、拘束力のないガイドラインのような規範「ソフト・ロー」での対応を念頭に置いている。