JR東海は、山梨県富士川町で工事を進めてきたリニア中央新幹線の利根川公園交差部の高架橋がほぼ完成したとして30日、報道陣に公開した。リニア新幹線営業路線の高架橋の完成は初。山梨県の甲府盆地内の工区を担当する山梨東工事事務所の中川隆広所長は「令和9年の開業に向けたペースで県内の工事を進めていく」と強調した。
利根川公園交差部高架橋は3つの橋脚の上に全長76メートル、幅16メートルの橋げたを設置し、高さは地上21メートル。高架上には上り線と下り線の2つの走行路が準備され、それぞれの両サイドには、推進や浮上用の電磁コイルを収納する側壁設置のための鉄骨がむき出しになっている。
今後は前後の高架橋の完成させ、橋げたをつなげ、鉄道の線路に相当するガイドウエーや防音防災フードを取り付ける工事を実施する。
この場所は富士川町の体育館などがあった場所で、山梨県内の工区の中でもいち早く更地とできたことから、令和2年7月からと、早期に工事を始めることができた。昨年3月に橋脚である下部工が終了し、同4月から橋げたである上部工に着手し、来月、高架橋として竣工(しゅんこう)する。
リニア中央新幹線の山梨県内の路線は全長が83・4キロ。このうち実験線がすでに42・8キロ設置されているため、今後約40キロを新設する計画だ。今回の高架橋のほか、すでに釜無川を渡るための橋脚の建設なども進んでいる。
リニア新幹線は静岡県内での工事が認めれていないことから、当初の令和9年の品川―名古屋間の全線開業は難しい状況となっている。しかし、山梨県内の工区では従来の計画に沿って工事を進め、現時点では9年開業に向けたペースを維持する方針だ。