トヨタ自動車と独商用車大手のダイムラートラックは30日、それぞれの傘下のトラック・バス会社を2024年末をめどに統合することで基本合意したと発表した。両社が均等出資で新会社を設立し、その傘下でトヨタグループの日野自動車とダイムラーグループの三菱ふそうトラック・バス(川崎市)の開発・生産を統合する。規模の拡大を通じて水素エンジンなどカーボンニュートラル(脱炭素)に向けた次世代技術の競争力を高める狙い。
日野自と三菱ふそうの持ち株会社となる新会社の概要や具体的な統合の進め方など詳細は今後詰める。新会社は東京証券取引所に上場する方針で、三菱ふそうの主要株主の三菱商事や三菱重工業など三菱グループ各社には新会社の株式が割り当てられる見通し。
開発や部品調達・生産を統合して経営効率を高める一方で、販売は日野自と三菱ふそうのそれぞれのブランドを維持する。
日野自は昨年3月に発覚したエンジンの排出ガスや燃費性能に関するデータ改竄(かいざん)の不正で、令和5年3月期連結決算で過去最大となる1176億円の最終赤字を計上。販売も低迷しており、経営の立て直しを迫られていた。
4社のトップは同日そろって記者会見し、トヨタの佐藤恒治社長は今回の統合の枠組みで「商用車の未来をつくる」と述べた。商用車は世界の自動車の二酸化炭素(CO2)排出量の4割を占めるとし、4社の枠組みで次世代技術の開発・普及を促進することで自動車や物流業界の脱炭素化に大きく貢献できると強調した。また、ダイムラー・トラックのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は、今回の合意による規模拡大は4社すべてにメリットがあり、脱炭素に向けた取り組みの「決定打に成り得る」と評価した。