【ソウル=時吉達也】韓国南部済州(チェジュ)島沖での多国間訓練に参加する海上自衛隊の護衛艦「はまぎり」が29日、自衛艦旗である旭日旗を掲げ南部釜山(プサン)に入港した。聯合ニュースなどが報じた。文在寅(ムン・ジェイン)前政権下では、旧日本軍でも使われた旭日旗を「侵略の象徴」とみなす国内の反発に配慮して日本側に掲揚自粛を要求するなどしたが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)現政権は「国際慣例」に沿うものだとし、問題視しないとの立場を明らかにしている。
護衛艦は29日午前9時半ごろ、釜山海軍作戦基地に入港。北朝鮮による大量破壊兵器の密輸入などの防止に向け、31日に行われる米韓豪などとの訓練に臨む。
軍艦艇は国際法で国籍を示す標識の掲示が求められており、自衛隊法などは旭日旗の掲揚を規定。海自艦は1998年と2008年、韓国で開かれた「国際観艦式」に自衛艦旗を掲げて参加した。しかし、文前政権は18年の観艦式で日本側に掲揚自粛を要求し、海自は参加を見送った。
一方、昨年5月に発足した尹政権は北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗し、日本との安全保障協力の強化を重視。同11月には、日本で開催された観艦式に、韓国軍が15年以来約7年ぶりに参加した。
韓国国防省は今月25日の会見で、外国に入港する艦艇が国旗や軍旗を掲揚するのは「通常の国際慣例」だとの認識を示していた。
31日の訓練終了後には参加した各国艦船の観閲式が行われる。韓国メディアによると、韓国国防相が海自艦の観閲を行うのは初めてとなる。