「国民すべてに感謝」 トルコ大統領選、現職エルドアン氏が勝利

28日、トルコ・イスタンブールで投票を終えたエルドアン氏(共同)
28日、トルコ・イスタンブールで投票を終えたエルドアン氏(共同)

【アンカラ=佐藤貴生】中東の地域大国トルコで大統領選の決選投票が28日に行われ、投票締め切り後に開票作業が進んだ。選管当局は28日夜、開票率99・43%の時点で現職のエルドアン大統領(69)が52・14%を得票して勝利したと発表した。野党統一候補のクルチダルオール氏(74)の得票率は47・86%だった。任期は5年。

エルドアン氏は28日夜、選管の発表を待たずに最大都市イスタンブールで支持者を前に演説し、「私たちを再び信頼してくれた国民すべてに感謝したい」と述べて勝利宣言した。

イスタンブールや首都アンカラでは多数の車や民衆が通りを埋め、29日未明まで国旗を振りながらエルドアン氏の勝利を祝った。

欧米メディアによると、バイデン米大統領やマクロン仏大統領がエルドアン氏を祝福するメッセージを発表した。戦闘が続くロシアのプーチン、ウクライナのゼレンスキー両大統領も祝意を寄せた。エルドアン氏は両国の調停を行っている。

一方、クルチダルオール氏は28日夜、「ここ数年で最も公平さを欠いた選挙」だったと主張したほか、トルコには「多くの困難」が待ち受けていると述べ、エルドアン氏の強権的な政治手法を批判した。敗北宣言はしなかった。

エルドアン氏は長引く経済低迷と2月の地震で被害が拡大したことで逆風に直面したが、約20年に及ぶ政権の実績を訴え、「強い指導者」を求める有権者の支持を集めた。クルチダルオール氏はエルドアン政権期に言論の自由や民主主義が侵害されたと主張し、経済再生を訴えて猛追した。

14日に同時実施された国会(定数600)選では、エルドアン氏が党首の「公正発展党」(AKP)など現与党勢力が過半数を維持した。このため、エルドアン政権による欧米への挑発的な外交が続く一方、国内のリベラル層の反発が強まる可能性もある。クルチダルオール氏は野党「共和人民党」(CHP)の党首で、野党6党の統一候補。

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