本命「ドジャース」、対抗「メッツ」か 過熱する大谷争奪戦の行方

マーリンズ戦の七回、好機に三振に倒れ、ベンチに戻ったエンゼルスの大谷=28日、アナハイム(共同)
マーリンズ戦の七回、好機に三振に倒れ、ベンチに戻ったエンゼルスの大谷=28日、アナハイム(共同)

米大リーグ(MLB)で今季、ここまで投手として5勝、打者としては12本塁打をマークしている大谷翔平選手(エンゼルス)。今オフにフリーエージェント(FA)になる28歳の動向が、米国内で注目されている。米スポーツ専門局のESPN(電子版)が移籍先の最有力候補として挙げたのは、かつて野茂英雄さんもプレーしたナ・リーグ西地区の名門球団・ドジャース。ただ、識者からは「エンゼルスに残留する可能性も十分に考えられる」といった指摘も。大谷をめぐる争奪戦が、シーズン中ながら水面下で早くも過熱している。

識者「ドジャースは最も準備が整っている」

ESPNは27日、MLBの球団幹部などの証言を元に、大谷の今後の動向を検証した特集記事を掲載。「球団幹部の中には、大谷がドジャースに移籍することを強く信じている者がいる」として、最有力候補としてドジャースを真っ先に挙げた。

さらに記事では「ドジャースは(チーム全体の)年俸総額を約15%削減し、昨冬のスター選手だらけだったFA市場で獲得を見送った」と指摘。「大谷については、ドジャースの選手とチームスタッフの間でも話題になっている」とした。

ドジャースに次いで有力候補として挙げたのがメッツ、パドレス、ヤンキースの3球団。今季から千賀滉大投手もプレーするメッツについては、「メッツのビリー・エプラー・ゼネラルマネージャー(GM)は大谷がアナハイム(エンゼルス)を選んだときの対外部門のリーダー。FAが始まれば、彼はどの球団幹部よりも大谷のことをよく知っている」として、エンゼルスの元幹部だったエプラー氏の存在が獲得に有利に働くだろうと分析した。

今年3月に行われたドジャースとのオープン戦で、打席に立つ大谷翔平。投手はカーショー=ロサンゼルス(水島啓輔撮影)
今年3月に行われたドジャースとのオープン戦で、打席に立つ大谷翔平。投手はカーショー=ロサンゼルス(水島啓輔撮影)

ドジャース、メッツが有力候補に挙げられていることについて、大リーグ評論家の福島良一氏は「ドジャースは大谷の獲得に備え、現在の指名打者(J・D・マルチネス)とも1年契約にとどめるなど、エースと指名打者の両方の役割を受け入れるための準備を最も整えている」と分析。メッツについては「先発投手はシャーザー、バーランダーといったベテランが中心。資金面も潤沢なだけに、獲得に興味を示すのは当然」(福島氏)という。

エンゼルスはサプライズ用意? 「想像絶することするかも」

一方、現在所属しているエンゼルスについて、記事では「エンゼルスの組織内では、好きなときに好きなことができる」として、大谷に全権委任していると指摘。「モレノ・オーナーは想像を絶するようなことをするかもしれない」と、残留に向けた〝サプライズ〟を予想した。

一方、記事では、大谷の代理人のネズ・バレロ氏がFA交渉時に提示額の下限を設定する可能性を指摘。「バレロ氏について、『5億ドル(約700億円)を出す用意がなければ、(交渉への)テーブルにつくことはないと各チームに伝えることができる立場にある』と話す幹部もいる」との証言を紹介した。

福島氏は「エンゼルスは今シーズン、若手の選手が徐々に台頭している。来季以降を見据えれば、優勝を狙える戦力が整い、チームに残留する可能性も十分に考えられる」と指摘。「チームが上位争いしている間は、シーズン中にトレードされる可能性は低いのでは」と話している。(浅野英介)

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