日銀は29日、令和5年3月期決算を発表し、保有する国債に1571億円の評価損が生じたと明らかにした。期末での評価損は、日銀が量的金融緩和を解除して金利が上昇局面にあった平成18(2006)年3月期以来17年ぶり。米欧の長期金利の上昇につられて日本の金利も上がり、市場で国債の価格が下落したことが響いた。
日銀は、国債が満期を迎えて元本が償還されるまで保有することを前提にしているため、評価損が直ちに問題になることはない。ただ金利が上昇して評価損がさらに膨らめば財務の健全性に懸念が生じる可能性がある。
5年3月末の国債の保有残高は、取得した時の価格である簿価で前期比10・6%増の581兆7206億円。金利上昇を抑え込むために国債の買い入れ額を増やしたため、過去最高となった。時価では581兆5635億円。簿価と時価の差が評価損となった。