北朝鮮「会えない理由ない」 岸田首相の日朝協議提案に

北朝鮮の国旗(ロイター)
北朝鮮の国旗(ロイター)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮のパク・サンギル外務次官は29日に発表した談話で、岸田文雄首相が日朝首脳会談実現のために高官協議を行いたいと述べたことを受け、「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が会えない理由はない」と表明した。朝鮮中央通信が伝えた。

北朝鮮が公式に日朝協議に前向きな姿勢を見せたのは2016年2月に日本と合意した拉致問題の再調査を中止して以来とみられる。北朝鮮の核・ミサイル脅威への対抗だけでなく、拉致問題を含む人権問題でも連携を強める日米韓を揺さぶる狙いがありそうだ。

パク氏は、日本が「前提条件のない首脳会談」を提案しながら「実際は既に全て解決された拉致問題とわが国の自衛権を巡る問題解決をうんぬんしている」と批判。「拉致問題は既に解決した」との北朝鮮の従来の主張を繰り返した。

北朝鮮は29日未明、日本に31日から6月11日の間に人工衛星を打ち上げると通告した。軍事偵察衛星の打ち上げを指すとみられ、偵察衛星や核・ミサイル開発などに日本が口を挟ませないよう牽制(けんせい)する思惑もうかがえる。

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