トルコ大統領選の決選投票でエルドアン大統領が勝利し、外交方針は継続される見通しとなった。エルドアン氏はロシアのウクライナ侵攻を受けて進めてきた両国間の調停を続けるとみられるが、欧米とは関係が冷え込み、対立が激化する事態も否定できない。
「プーチン氏にとっても勝利」
エルドアン氏は昨夏、露侵攻で停滞したウクライナの穀物輸出を再開に導くなど、双方の調停に努めてきた。ロシアがトルコの仲介に応じたのは、エルドアン氏とプーチン露大統領の個人的な関係によるところが大きい。
エルドアン氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながらロシアから地対空ミサイルS400を購入し、欧米との関係が悪化。一方のプーチン氏はトルコで原発を建設するなど、エネルギーの面からエルドアン政権を支えた。トルコの男性記者(57)は「エルドアン氏の勝利はプーチン氏にとっても勝利を意味する」と評した。
ただ、エルドアン氏の仲介外交はロシアとウクライナの停戦には影響力が及んでいない。ロシアに近いエルドアン氏の調停に欧米が納得するかも見通せず、戦闘の現場で停戦が現実味を帯びてきたときが正念場となりそうだ。