大栄翔、気迫の10勝目「上がる気持ちで」 3関脇が名古屋で大関取り

【大相撲五月場所(夏場所)千秋楽】〇大栄翔(つきたおし)若元春●=両国国技館(土谷創造撮影)
【大相撲五月場所(夏場所)千秋楽】〇大栄翔(つきたおし)若元春●=両国国技館(土谷創造撮影)

横綱照ノ富士が制した大相撲夏場所は、関脇陣の奮闘も目を引いた。場所後の大関昇進を確実にした霧馬山をはじめ、4関脇がいずれも2桁勝利。次の名古屋場所に期待を持たせる好成績だった。

大栄翔は若元春との関脇対決。立ち合い、頭から当たって先手を取ると、勢いそのまま突き放す。懸命に残そうとする若元春をよく見て追い立て、最後は土俵下まで激しく突き倒した。

先場所は小結で優勝同点の12勝、そして今場所10勝。大関取りへの足場を固めた29歳は「今日が一番、相撲内容が良かった。来場所につながる。上に上がる気持ちでやらなければ上がれない」と表情を引き締めた。

大栄翔だけではない。今場所は関脇陣が霧馬山11勝、豊昇龍11勝、若元春10勝とそれぞれ持ち味を発揮して活躍した。4人の関脇全員が勝ち越したのは平成8年春場所以来27年ぶり、昭和以降4度目。4人とも2桁勝ったのは初めてだ。

大関昇進の目安は直近3場所合計33勝とされ、豊昇龍と若元春も2場所で計21勝まで積み上げている。昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長(元関脇琴ノ若)は、大栄翔を含めた3人が7月の名古屋場所で大関昇進を懸けることになるとの認識を示し、「『俺が先に』という気持ちで頑張ってほしい」と期待を述べた。

大関昇進が決定的となった霧馬山に続くのは誰か。豊昇龍は「(霧馬山に)先に行かれた。自分も頑張らないと」。若元春も「内容的にもっと力を付けないといけない」と考えている。

昭和以降、大関に2人同時に昇進した例は8度。3人同時が実現すれば初の快挙となる。(宝田将志)

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