第76回カンヌ国際映画祭で男優賞に輝いた役所広司さん(67)は名前が呼ばれると、驚いた表情で立ち上がり、周りに座ったスタッフらとハイタッチを交わした。万雷の拍手に送られて壇上に向かう途中、ビム・ベンダース監督と抱き合って喜びを分かち合った。
あいさつを求められ、照れくさそうな表情を浮かべながら「僕は賞が大好きです。でもこうやって華やかな映画祭でスピーチするのは、好きじゃない」とジョークを飛ばし、共演者らに感謝の言葉を述べた。
授賞式後の囲み取材に、役所さんは「やっと柳楽(優弥)君(2004年に14歳で男優賞受賞)に追い付いたかな」と話して、笑いを誘った。歴史あるカンヌで認められ「この賞に恥じないように頑張んなきゃなと思います」と決意を語った。
ベンダース監督は、自身が敬愛する小津安二郎監督の映画で笠智衆が演じた「平山」という役を、役所さんに投影したという。壇上の役所さんを見つめ、感極まった様子で涙を流していた。(共同)