国内には人口が減っても生産性の向上などで全体の国内総生産(GDP)を維持すれば、1人当たりGDPは逆に増え、国民は豊かになるとの楽観論がある。
「人口が減れば、経済と社会全体が負のスパイラルに陥らざるをえない。今の少子化はまだ序の口で、時間がたつにつれてどんどん牙をむいていく」。こう警鐘を鳴らすのは、前日本商工会議所会頭で日本製鉄名誉会長、三村明夫だ。
三村は製鉄メーカーの経営経験も踏まえ、こう分析する。日本のGDPの約6割は消費が占める構造上、人口減は国内市場の縮小に直結する。企業は市場が縮小する国より、消費の拡大が見込まれる方に設備投資を向ける。日本製鉄も人口世界一のインドに高炉建設などで1兆円超を投資する計画を進めている。