【ワシントン=大内清】バイデン米大統領は27日、米政府のデフォルト(債務不履行)回避に必要な債務上限の引き上げ条件で、野党・共和党のマッカーシー下院議長と原則合意したと発表した。合意内容は法案化され、31日にも下院で採決が行われる見通し。バイデン民主党政権と共和党の政治的対立によって生じた「デフォルト危機」は、ひとまず回避に向けて大きく動き出した。
バイデン氏は27日、マッカーシー氏と電話で会談し、事務レベルで続けられてきた協議内容で原則的に合意することを確認。同日発表した声明で「破滅的なデフォルトを防ぐため、米国人にとって良いニュースだ」と強調した。
米メディアによると合意には、2年間分の債務上限を引き上げる条件として、軍事費を除く歳出を2023会計年度(22年10月~23年9月)と同水準に2年間据え置き、25会計年度には1%の増額を認めることが含まれる。
米国では新型コロナウイルス禍などを受けた大型財政支出によって経済が下支えされている側面があり、利上げが続く現在の局面で歳出を絞ることは景気後退の引き金になりかねないとの指摘もある。
共和党では、連邦政府の権限縮小などを目指す保守強硬派がさらに大規模な歳出削減を要求しており、マッカーシー氏が同派を説得できるかが焦点。民主党でも左派を中心に歳出削減への反対論が強く、スムーズに法案を可決できるかはやや不透明な状況だ。
米国では政府の借入限度額である債務上限が法律で定められており、上限の引き上げにはそのつど立法措置が必要。現在の上限である31兆4千億ドル(約4400兆円)に達した今年1月以降は財務省の特別な予算措置が続くが、6月5日にも資金が枯渇してデフォルトに陥る懸念が強まっていた。