国連の推計によると、4月末までにインドの人口が中国を上回り、世界最多となった。アジアの2大人口大国の前途は対照的だ。第二次大戦後、両国はいずれも人口爆発に直面し、強制的な人口抑制策を試みた。その結果、男女比率が不均衡になるなど共通点もある。だが「一人っ子政策」を徹底した中国はいま、深刻な少子高齢化と国力減退の危機に直面し、習近平国家主席が掲げる「中華民族の偉大な復興」に暗雲が漂う。一方、人口抑制策に失敗したインドは若者人口の多さが今後も経済成長を後押しするが、雇用創出という課題を抱えている。
人口の約半数が30歳以下のインド
インド政府は、人口増が医療や経済、教育を圧迫し、近代化への障害になるとの認識を抱いてきた。モディ首相も2019年に「小家族主義は愛国心の一形態である」と述べており、人口が増え続けることに警戒感を示している。