人気を集める理由も納得 新型レクサスNX試乗記

ジャストサイズ

運転を楽しめ、かつテイストフルなSUVがほしい……そんな願いをもつひとには、2023年3月にマイナーチェンジを受けたレクサス「NX」を勧めたい。

全長4660mmと、日本の都市部でも扱いやすいサイズと、シャープな印象のボディデザインは個人的にも好印象だ。

全長は、トヨタでいえば「ハリアー」と「RAV4」のあいだである。ターゲットはおなじでないが、日産「エクストレイル」と同一サイズだ。

輸入車だと、メルセデス・ベンツの「GLB」よりは少し大きく、「GLC」よりはコンパクト。アウディ「Q5」に近く、BMWだと「X3」より小ぶり。ミドルサイスとしてはちょうど良いサイズかもしれない。

2023年5月中旬に乗ったのは、シリーズ頂点の「NX450h+ Fスポーツ」。2487cc直列4気筒ガソリン・エンジンに、外部充電式のプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレインを搭載。

前輪は、136kWの最高出力と228Nmの最大トルクを発生するエンジンと270Nmを発揮するモーターで駆動。後輪は121Nmのモーターで駆動する電動式全輪駆動方式を採用した。

モーターを意識させない走り

はたして、マイナーチェンジでボディ各所に補強を入れ、走りの味をより深化させたと謳う。

より具体的には、フロントまわりのボディ剛性向上、リヤまわりのボディ剛性向上(リヤサスペンションメンバープレースの追加)、前後ボディ剛性配分変更による空力バランス調整などだ。

実際の操縦感覚は、最近のレクサス車に共通ともいえる、重めに味つけされた操舵感覚が印象的だった。路面とのコンタクト感は確保されていて、しっかりとした感覚だ。

操舵とともに、車体は反応よく動く。コイルスプリングとダンパーによるサスペンションシステムと、電子制御ステアリングシステムのチューニングを見直した結果だろう。

軽快というのではないけれど、大きなトルクを利用して、素早い身のこなしをみせてくれる。重厚な印象をもちつつ、運転が楽しめる。このバランス感覚ゆえ、よくできたSUVだなぁと感心した。

標準モデルよりさらに硬めのFスポーツモデル専用の足まわりの設定も、ステアリングホイールを切ったときの敏捷な動きに貢献しているはずだ。

モーターで走れる距離は90kmぐらい。それだけに長い距離を走らなかった今回の試乗では、ほぼEVモードで事足りてしまった。なにより私が感心したのは、ナチュラルな操縦感覚だ。

どんなドライブトレインで動いているか、意識させない。NX450h+は前記のとおり、プラグインハイブリッドで、電気モーターを積極的に使う設定。

でも、モーターを意識させないし、エンジンがかかったときには同様に、エンジンでの走行と気づかせない。操縦感覚の差が少ないのだ。

先だってマイナーチェンジを受けたピュアEV、レクサス「UX300」eも、知らないで乗ればパワートレインがなんだか当てられない……それと似ているかもしれない。これはうまいなぁと感心した。

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